ラーメンズ特別公演「零の箱式」〜ヨリヌキ初期作品集〜

零の箱式


 いやー、楽しいなぁ。一本ネタとして十分成立しているコントばかりが並んだ素晴らしいビデオでした。お腹一杯。

 中でも凄かったのは「タカシとお父さん」。ラーメンズの代表ネタのひとつらしいですが、これは果たしてネタなのでしょうか。小林は殆ど台詞が無しで、定位置でひたすら同じ動きをするだけ。片桐が好き勝手(に見える)に動くこのネタ。そりゃ、ある程度の決まりはあるでしょうけど、 7 割ぐらいはアドリブに見えるのです。もしこれが一字一句違わず全てが台本だったとしたら、恐ろしくて屁も出ません。こんなのを代表ネタにしてしまう辺りからして恐ろしすぎるのですが。一本ネタらしい「日本語学校」や「片桐学概論」なんかと並べられると、余計に異質です。怖い怖い。

 あと、客演として三人、ラーメンズ以外の出演者が居るのが新鮮でした。その面子で演劇のようなコントをやられると、より劇団っぽさが増してて別の意味で笑えます。「劇団ラーメンズ」という感じ。客演があるものは全て小林が中心になっているので、余計に劇団っぽいです。

 何より、何故かは知らないけれど、空気自体が非常にユルい。今まで観てきたビデオだとどのコントでも台本の空気になるのですけど、このビデオで展開される空気は、どれも「なるようになる」ぐらいの余裕が漂っていて、もンの凄い力抜いて観られます。誤解を恐れずに書くと、緊張感が薄いのです。それがとても良い感じです。このぐらいが僕には丁度良い。

 こういう、普遍的にウケるネタいくつも持ってるのだから、ラーメンズこえーなぁと思うわけです。やろうと思えば、いくらでも全方位兵器になれるんですものねぇ………こえーこえー。