ラーメンズ第 10 回定期公演「雀」

 パッケージの裏に書いてあった「小林賢太郎、壊れる」の文字。「何か嫌なことでもあったんでしょうか」とまで書いてありました。

 小林が好き勝手やってると言えば、まず「CLASSIC」を思い出す訳で、「うわ、あんなの既に過去にやってたのか!」と衝撃を受けてた訳ですけども、観てみたらなんのことはない、確かに小林賢太郎は今まで以上にボケとツッコミで言ったらボケの方に回っておりましたが、それは結局今まで片桐に置かれていた比重が、小林に若干傾いたぐらいのものでした。確かに、ノリツッコミしたり、モノマネしたりとか、訳分かんないことしてますけど。

 このビデオで「壊れてる」のは、小林じゃなくてそもそもの作劇の方法が壊れているような気がします。それが顕著なのが、七本目に入っている「男女の気持ち」で、これはコントでも、ましてや演劇でもなく、どちらかと言ったら漫才のような作り方でした。「こんなことありますよねー」「ありますねー」「ちょっとやってみましょーかー」みたいなノリ。形態も、ハッキリと小林ボケで片桐ツッコミとなっていますし、それまで観てきたものを考えると、確かに「壊れてる」ように思います。

 でも、演劇な一本目を除いては、どれもコントらしいコントが粒ぞろい。いつも通りと言ったらいつも通りな、よく出来たコントライブでありました。ただ、結局、この漢字三部作が「三部作」である所以って、一体何なんだろうなぁ……という謎は残りますけど。

 あと、最後に収録されているコントが、かなり不自然な編集をされているのですけど、あれは一体なんなんでしょうか。しかも、すっごく大事なところ切られてるんですけど。謎。